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大台町の小さなカフェから。——地域の灯りをつなぐ、20代の挑戦

BOUQUET_1

三重県多気郡大台町にある、人気グルメバーガー&ドーナツのお店『BOUQUET(ブーケ)』

天井一面のドライフラワーと豊かな自然の景色の中、食事を楽しめるBOUQUETは、「大切な人と大切な時間を過ごしてほしい」というコンセプトで、運営されています。

天内の様子

店舗では、チーズをたっぷり使用した美味しいバーガーや、シンプルな見た目ながら素材にこだわったふわもちドーナツが人気で、土日は特に多くのお客様で賑わっています。

ショーケースに入ったドーナツの画像

2022年にオープンし、2024年には飯高店も仲間入りしたBOUQUETですが、地方飲食店ならではの課題も抱えており、苦労する場面も多いといいます。

今回は、入社3年目で店長を務める中川爽(さわ)さんに、課題がありながらも、“この場所でお店を続けている想い”について、インタビューを通してお聞きしました。

本記事では、「地方飲食店ならではの課題」と、それに立ち向かうBOUQUETの工夫や日々の頑張りをお伝えします。

西川
この記事が、地域飲食店の皆さんにとって少しでもお役に立てば嬉しいです。

人が集まらない。やりたいことがあっても、手が足りない。

三重県多気郡大台町、清流として知られる宮川沿いに『BOUQUET(ブーケ)』はあります。

店内から見える宮川の景色

店内からも宮川沿いの景色を楽しめる作りとなっていて、落ち着いて過ごせる雰囲気です。

西川
BOUQUETのコンセプト「大切な人と大切な時間を過ごしてほしい」という想いが感じられました。

そんなBOUQUETの一番の悩みが、「スタッフの採用」。

現在、スタッフは正社員3名、アルバイト20名と一見充実しているように思えますが、アルバイトのスタッフはパートタイムで単発的に働く人が多く、フルタイムで働ける人の採用に日々苦労しているそうです。

地方とくに市街地から離れた山間部では、働きたくても通うのに遠いという理由もあり、人が集まりにくい現状があります。

また、大台町の店舗では、電話やInstagramのDMでドーナツのご予約を受け付けており、予約情報の集計や管理は、現在も手作業で行っています。

人手不足からくる業務の属人化や負担集中が課題となり、マルチタスクでの対応も多くなっています。

特に店長の中川さんは、日々シフトの調整をしたり、店舗運営について考える時間が必要になるので、負担が集中する日もあるそうです。

しかしその中でも、従業員が働きやすい環境作りには、人一倍気を配っています。

インタビューの様子1

新人教育では1ヶ月の研修期間を設け、アルバイトに定着してもらうため「働いていて楽しい雰囲気」を重視。

忙しくてもピリピリせず、人間関係を大切にしたチームづくりを心がけているそうです。

BOUQUETでは、メニューの考案を社員やスタッフが行い、各店舗の客層に合わせて種類やおすすめメニューを調整しています。

ハンバーガーの画像

小さな店だからこそ個々の負担が大きくなる半面、メニューの考案やイベントの企画など、運営に携わる機会があるのもメリット。

今は、BOUQUETの想いを理解し、店舗に深く関わり、楽しみながら長く働ける仲間を求めています。

西川
入社3年目で店長になり不安なことも多いと思いますが、仲間と一緒に楽しく働く環境作りをされている中川さんは、責任感も強く、店舗のことをとても大事に思っていることが伝わってきました。

誰かが引き継がなければ、町の灯りが消えてしまう。

そもそも、BOUQUETがなぜ大台町で店舗を構えることになったのかというと、そこには地域再生の想いがありました。

BOUQETの外観画像

2021年12月末、地域と人をつなぐ場として親しまれていた大台町の観光施設「ふるさとプラザもみじ館」が閉館。

地域には、ぽっかりと穴が空いたような寂しさが漂っていました。

そんな時、松阪市にある企業・シティ電産エレクトロン株式会社の中川社長が、大台町より相談を受けて跡地の運営を決意。

「街の元気がなくなるのは寂しい」という地域再生への想いで、BOUQUETの出店が決まったそうです。

大学を卒業し同社に入社したばかりだった中川社長の娘である中川爽さんは、立ち上げメンバーとして開業に携わり、そこから2年後、現場責任者を任せられました。

西川
初めて責任者となったとき、どんな気持ちでしたか?
中川さん
中川さん
いつかは自分が担当することになるんだろうな、と思っていたので戸惑いはそんなになかったです。だた責任者になったのは、オープンして2年目の春だったので、こんなに早いとは思っていませんでした。もともとカフェの店員がしたいという想いはあったので、楽しみでもありました。
西川
まさに、若き挑戦!ですね。

正解は分からない。でも、“また来たい”と思ってもらえる店にしたい。

いま、BOUQUETでは、飲食業未経験の中川さんが店舗業務を担いながら、自分なりの運営方法を模索しています。

中川さんに今どのような想いで働いているのかを聞いたところ、

中川さん
中川さん
ローカルな場所だからこそ、地元の方に愛され続けるお店でありたいと思っています。メニューやサービスにもこだわり、お店をきっかけに大台町や飯高エリアを好きになってもらえる存在を目指しています。

と、想いを語ってくれました。

中川さんが話している様子

中川さん
中川さん
今もこれからも、「大切な人と大切な時間を過ごしてほしい」という想いは変わりません。最近は、お客様とのつながりをもっと深めたくて、「ブーケトスプロジェクト」という新しい企画も始めました。

「ブーケトスプロジェクト」とは、ブーケ(花束)にちなんだ企画を通して、お客様との双方向コミュニケーションを深め、地域とのつながりを広げる取り組みです。

また、“地域の拠点”として、大台町や飯高エリアの魅力を発信し、訪れるきっかけとなる場づくりも目指しています。

中でも目を引いたのが、スタンプカードを通じてお客様との関係を深める工夫でした。

スタンプカードの画像

店舗で購入しスタンプを貯めると、そのカードの半分を誰かにプレゼントできます。

カードは店舗で使用できるため、誰かとBOUQUETに行くきっかけとなり、「人と人」「人と店」をつなぐ素敵な取り組みだと感じました。

インタビューの様子2

西川
店舗の企画だけでなく、イベントにも出店しているようですが、どのような目的で参加されているのですか?
中川さん
中川さん
基本的に地元を盛り上げるのは、店舗で行うこと。なので、伊勢市や松阪市など大台町から離れた地域のイベントで出店して、大台町全体の魅力にも気づいてもらい、この地域を訪れるきっかけになれたら嬉しいと思って、参加しています。

イベントは、主催者から声がかかる場合もあれば、自ら見つけて参加することも多いそうです。

また、SNS発信にも力を入れており、大台店のSNSアカウントは9,000人以上のフォロワーを獲得しています。

SNSを通して店舗を知る人も増えており、小さな工夫の積み重ねで、日々少しづつ前に進んでいる印象でした。

西川
「完璧ではないかもしれないけれど、お客さんを一番に思ったサービスを届けたい」という想いが中川さんからあふれていました。

やりがいだけじゃ、続けられない。じゃあ、どうすれば?

BOUQUETの課題としてあった「人手不足」。

インタビューの様子3

やりたい気持ちもやりたいこともたくさんあるのに、「毎日の営業を回すだけで精一杯」というのが、店長である中川さんの悩みでした。

今のままで、このお店は続けられるのか…*BOUQUETの挑戦は、いま“第2章”に入りかけています。

スタッフの確保、店舗運営、注文管理、業務の属人化――。

想いだけでは乗り越えられない、小さな“しんどさ”が積み重なっています。

「このお店を長く続けるには、何が必要なんだろう?」

「地方の飲食店が持続可能な運営を続けるには、どうすればいいのか?」

地方の店舗が抱える課題を解決するため、このような視点から業務改善や仕組み化の可能性を追求していきます。

この問いを出発点に、地方の店舗が抱える課題に対し、業務改善や仕組み化の可能性を探る取り組みを今後の記事でご紹介していきます。

「BOUQUET」のお店データ

店内の画像

店名 BOUQUET(大台店) BOUQUET IITAKA(飯高店)※熟生ドーナツ専門店
住所 大台店:三重県多気郡大台町下真手5-1
飯高店:三重県松阪市飯高町宮前177道の駅 飯高駅内
電話番号 大台店:0598-89-4899
飯高店:0598-67-8534
営業時間 大台店:10:30-17:00
飯高店:10:30-17:00
定休日 大台店:火曜(冬季など、月・火定休の場合有)
飯高店:水曜日定休/売切次第終了
テイクアウト 大台店:イートイン&テイクアウト
飯高店:テイクアウトのみ
お支払い方法 カード可・電子マネー可・交通系電子マネー・QRコード決済・現金
駐車場 あり
採用について アルバイト情報はこちら
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公式SNS 大台店:https://www.instagram.com/_bouquet2022_/
飯高店:https://www.instagram.com/iitaka_bouquet/

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