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数字を“正解”にしないー高校授業で実践したデータ活用の考え方ー

情報があふれる今、すべてを吟味して判断するのは簡単ではありません。

だからこそ、目に入りやすい情報や第一印象で決めてしまう場面も増えています。

サンエルが考えるデータ活用は、データを材料に「次に何をするか」を決め、実行し、確かめ、必要なら直すことです。

本記事では、高校生向けに実施した授業の例も交えながら、この考え方を具体的に紹介します。

データ活用は「分析」で終わらせない

サンエルが考えるデータ活用とは、集めたデータをもとに「次に何をするか」を決め、実行し、確かめ、改善していくことです。

ここでいうデータは、難しい統計処理をした数字だけではありません。

アンケートの回答や観察の記録、人数のカウントなど、事実として集められるものはすべて含まれます。

大切なのは、見栄えのよいグラフを作ることではなく、「何を決めるためのデータか」を明確にすることです。分析はそのための途中の工程にすぎません。

こうした流れを迷わず進めるために、あらかじめ進め方の“型”を持っておくことが重要です。

なぜ「手段先行」でつまずいてしまうのか

データ活用では、まず「何のためにやるのか」を定めることが重要です。

しかし実際には、ツールや分析手法から考え始めてしまい、途中で方向を見失うことが少なくありません。

選択肢が多いほど迷い、「とりあえず集計する」「とりあえず見える化する」といった作業に流れやすくなります。

その結果、意思決定につながらないまま終わってしまうこともあります。

もう一つのつまずきは、数字を“正解”のように扱ってしまうことです。

数字は集め方や条件によって意味が変わります。前提を確かめないまま結論を急ぐと、判断を誤ることにもつながります。

だからこそサンエルでは、データ活用を分析で終わらせず、意思決定と行動、検証までを回すプロセスだと捉えています。

そのための支えとなるのが“型”です。

型とは、問い→仮説→測る→確かめる→決めるという進め方

進め方はシンプルです。

まず「何を知りたいのか」という問いを決めます。

次に「多分こうだろう」という予想(仮説)を立てます。

その予想を確かめるために、何をどう測るかを決めてデータを集めます。

集めたデータは、前提や条件がそろっているかを確認しながら見て、意味を考えます。

そして最後に、「では次に何をするか」を決めます。

題材が変わっても、この順番は変わりません。

大切なのは、分析で止まらず、必ず行動までつなげることです。

ステップ 目的 ここでやること(行動) 確認すること(落とし穴) 残るもの ミニ例(食堂混雑)
1. 原因当てをやめ、問いにする 検証できる問いに言い換える 印象で決めつけていないか 問い 「カレーが人気だからだ」→「何があると食堂が混むのか?」
2. 予想を確かめる形にする 仮説を複数出し、言葉を整える 抽象すぎないか/1個に絞りすぎてないか 仮説 「レジが遅いと混む」
「席が足りないと混む」
3. 比べられる形で集める 指標・対象・条件を決めて集める 条件がバラバラ/偏り 測り方 「待ち時間を測る」
「並んでる人数を数える」
4. 数字を正解にしない 可視化して前提を確かめる 多数派=正しい/鵜呑み 解釈 「月曜と金曜で混み方が違わない?」
「1年だけ答えてない?」
5. 行動に着地させる 次の手+確かめ方を決める 抽象で終わる/検証できない 対策+検証 混む時間をずらすために、昼休みを2グループに分ける案→
「実施後に待ち時間をまた測る」

大事なのは分析で終わらせず、データを材料に「次の行動」を決めるところまで進めることです。

数字を見て「分かった」で終わらせず、データを比べて確かめ、最後に「では次に何をするか」まで決めます。

データは答えそのものではなく、次の行動を決めるための材料なので、決めるまでの順番(手順)が必要になります。

実例:データを「対策」までつなげた高校授業


この型を、高校1年生の授業で実際に一度回してみました。

授業は50分×2回の計100分。

題材には、生徒自身が観察や聞き取りを行える「学校の食堂の混雑」を選びました。

目的は、混雑の“正しい原因”を当てることではありません。

集めたデータを材料に、「次にどうするか」を決めるところまで進むことです。

授業は、次の流れで進めました。

詳しくはこちら

時間 (50分×2) 実施内容 使用したデータ 授業後に残る知見
1コマ目 問いと予想を作り、集め方を決めた アンケート/観察・記録 問い・予想・集め方
2コマ目 結果を見て、対策と確かめ方を決めた 集計結果 + 観察・記録 対策案・検証の見方

アンケートに見る、型がもたらした判断の変化

今回のアンケートは、授業直後の振り返りです。

行動の変化そのものを測ったものではありませんが、考え方の変化の兆しを見ることはできます。

決め方重視:5段階評価(1〜5)のうち、4=「そう思う」と5=「とてもそう思う」85.9%(4:35.0%/5:50.9%)

転用:使えそう97.9%(すぐ32.5%/場面65.4%/不可2.1%)

行動意欲:変えてみたい95.7%(なんとなく72.6%/具体23.1%/変化なし4.3%)

変化① 「正解」ではなく「どう決めるか」へ

多くの生徒が、「正解を当てること」よりも「どうやって決めるか」のほうが大事だと感じていました。

データを行動につなげるというねらいは、少なくとも考え方としては伝わったと言えます。

変化②型は“考え方”として受け止められた

「ほかの場面でも使えそう」と答えた生徒は非常に多く、この型が特定の授業内容ではなく、考え方として受け取られたことがうかがえます。

ただし、「すぐに使える」とまでは言い切れない生徒も多く、具体的な場面への接続には工夫が必要です。

変化③意欲から具体的行動へ

「行動や考え方を少し変えてみたい」という声は多く見られました。

型を一度回すことで、考え方に変化が生まれたことは確かです。

一方で、「これを具体的に試したい」と答えた生徒は2割ほどにとどまり、「なんとなく意識してみたい」が中心でした。

授業直後には意欲は高まりますが、「私はこれをやる」と具体的に決めるところまでは、もう一段の後押しが必要なのかもしれません。

変化を継続的な行動につなげるには、問いから検証までを一貫して進められる枠組みや、進め方の設計が重要だと見えてきました。

まとめ:データは「答え」ではなく、よりよく決めて動くための材料

サンエルが考えるデータ活用とは、分析で終わらせることではなく、データを材料に「次に何をするか」を決め、実行し、確かめ、改善していく循環を回すことです。

その循環を支えるのが、問いから行動までを一貫して進める“型”です。

数字は、答えそのものではなく、よりよく決め、次の一歩を踏み出すための材料になります。

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