
前編では、日々の業務で生まれた疑問や困りごとを気軽に相談できる「15分相談カード」を紹介しました。
サンエル社員の上田さんが地域活性化起業人として関わる、三重県内のある自治体では、この15分相談カードとあわせて、職員向けのWord・Excel研修も継続的に行っています。
大切にしているのは、研修を実施して終わりにしないことです。
研修後のアンケートや職員から寄せられる相談を通して、実際の業務でどのようなことに困っているのか、どんなことを学びたいのかを確認し、その声を次の研修や支援内容につなげています。
後編では、Word・Excel研修をどのように職員の実務につなげているのか、15分相談カードとの関係も交えながら紹介します。
職員の実務につなげるWord・Excel研修
複数の難易度を設け、さまざまな操作を扱った
5月に行った研修では、複数の難易度を設け、Word・Excelのさまざまな操作を扱いました。
Wordでは「スタイル」「インデント・タブ」「改ページ」などを取り上げました。Excelでは「テーブル化」「入力規則」「条件付き書式」などを扱っています。
研修後にはアンケートを実施しました。
確認したのは、研修内容の理解度だけではありません。「業務で使えそうか」「今後の研修で扱ってほしいテーマ」「普段のWord・Excel作業で困っていること」などについても尋ねました。
研修で学んだことを、その場で理解して終わりにするのではなく、その後の業務でどう使えそうか、どのようなところに困りごとがあるのかを確認する機会にもしています。
研修後の声から、実務上のニーズが見えてきた
「業務で使いたいこと」と「個別の困りごと」をアンケートで把握
5月の研修後アンケートでは、研修で学んだ機能を、実際の仕事で使ってみたいという具体的な声が寄せられました。
「入力規則で、入力ミスをなくせると思った」
「テーブル化。知る前と後では作業のやりやすさが違ってくる」
といった回答がありました。
Wordでも、
「タブを使うのが楽になると思いました」
「スタイル使ってみようと思った」
という声が確認できました。
一方で、アンケートから見えてきたのは、研修で扱った機能への反応だけではありません。
普段の業務で困っていることとして、「差し込み印刷、ラベル作成」や、「CSVデータをExcelに入力して帳票出力するときの細かい調整」といった、担当業務に紐づいた具体的な内容も寄せられました。
また、今後研修で扱ってほしいテーマとして「差し込み文書」を挙げる回答もありました。
こうしたアンケートを通して、どの機能を仕事の中で使いたいと感じているのかだけでなく、職員が日々の業務のどこで困っているのかも具体的に見えてきました。
見えてきた課題に研修と個別相談で応える
職員の声を受けて、実務に近いテーマへ研修を発展
5月の研修は、実施して終わりではありませんでした。
研修内容やアンケートを振り返る中で、7月には、より実際の業務で使う場面に近いテーマに絞った研修を行うことになりました。
7月の研修は、当初から予定されていたものではありません。
5月の研修と、その後のアンケートを振り返った結果として追加・発展した取り組みです。
Wordでは「差し込み文書」、Excelでは必要な情報を取り出す「抽出表示」をテーマにしました。
5月のアンケートでは、今後扱ってほしい内容として「差し込み文書」が挙げられたほか、「差し込み印刷、ラベル作成」に困っているという回答もありました。
こうした声も含め、5月の研修内容やアンケート全体を振り返りながら、7月に扱うテーマを検討しました。
7月の研修後アンケートでは、過去の講習をきっかけに実務で変えたこととして、「Wordではなく、エクセルで表を作るようになった」という回答もありました。
研修で知ったことを、それぞれの業務の中で試している職員がいることもうかがえます。
個別の疑問には、15分相談カードで対応する
研修では、複数の職員に共通するテーマや操作方法を扱うことができます。
一方で、実際に仕事の中で使ってみると、「自分が担当しているこの業務ではどうすればよいのか」といった、より個別性の高い疑問が生まれることもあります。
そうしたときに利用できるのが、前編で紹介した「15分相談カード」です。
15分相談カードは、日々の業務の中で生まれた疑問や困りごとを、短い時間でも気軽に相談できるようにするための仕組みです。
研修で共通するテーマについて学び、日常業務の中で使ってみる。
その中で個別の疑問が生まれた場合には、15分相談カードを使って相談することができます。

研修と15分相談カードは、どちらか一方で職員の困りごとに対応するのではなく、それぞれ異なる役割を持ちながら進められています。
個別相談で見えた課題を、次の研修にもつなげる
15分相談カードの役割は、個別の疑問や困りごとに答えることだけではありません。
個別相談を重ねる中で、複数の職員に共通する困りごとやニーズが見えてくることもあります。
上田さんによると、15分相談カードで寄せられた相談内容を、実際にその後の研修テーマにつなげたこともあるといいます。
つまり、研修から個別相談へと一方向に進むだけではありません。
研修後のアンケートや日々の相談から職員の声を拾い、その内容を次の研修や支援に生かす。そうしたやり取りを繰り返しながら、職員の実務に合わせた支援を続けています。
任期後も、業務が滞らず進められる状態・仕組みを残す
Word・Excel研修や15分相談カードを通して職員の声を拾い、次の研修や支援につなげてきた上田さん。
こうした取り組みを続ける中で、その先に見据えているのが自身の任期終了後です。
地域活性化起業人には任期があります。
上田さんは、自身がいる間だけ業務を支えるのではなく、任期が終わったあとにもつながる状態や仕組みを残すことを大切にしています。
