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こんにちは!!MieL編集部です。
三重県松阪市は、現在では「松阪牛」がとくに有名ですが、江戸時代は日本経済の一翼をになう松阪商人の本拠地として、また伊勢へ向かう街道の町として知られていました。
今回は、松阪商人が財をなすきっかけとなった「松阪もめん」の機織り体験に、サンエルのメンバーで挑戦してきたのでご紹介します。
縞柄が江戸の町を席巻!奥が深い松阪もめんの歴史
松阪には5世紀後半に紡織の技術が大陸から持ち込まれ、古代日本において紡織の中心地となりました。15世紀になると、エジプトやインドを原産地とする「木綿」が日本に伝えられ、16世紀初頭に「松阪もめん」が生まれたそうです。
江戸時代に入ると江戸の町に200件ほどあった呉服屋のうち、7割を松阪商人の店が占めていました。その松阪商人の才覚により、松阪もめんの大ブームが巻き起こりました。
どれほど大ブームだったかというと、江戸の町の人口100万人に対し、年間約50万もの反物を売り上げたといわれているほどです
松阪もめんの特徴は、天然藍の先染め糸を使って織り成す縞柄(しまがら)にあります。そのデザイン性の高さが、粋(いき)で鯔背(いなせ)な江戸庶民の心をつかみ、倹約令による衣服規制がある中で、洗練されたデザインとされていました。
反物(たんもの)の一反(いったん)の長さ
倹約令(けんやくれい)
現在でも、歌舞伎役者が縞柄(しまがら)の着物を着ることを「マツサカを着る」と表現するほど、松阪もめんは縞柄の代表的な織物なのです。
三重県指定の伝統工芸品、松阪木綿
ここ最近では、時代の流れとともに、松阪木綿を『松阪もめん』と平仮名表記するようになってきたそうですが、伝統工芸品としての表記は『松阪木綿』となります。
三重県内には、これまで数多くの木綿(もめん)が存在していましたが、現在残っているのは『松阪木綿』『伊勢木綿』『市木(いちぎ)木綿』の3つだけです。ともに三重県指定の伝統工芸品ですが、工場も三重県内にそれぞれ一箇所づつしか残っておらず、貴重なものとなっています。
松阪もめんの特徴
松阪もめん最大の特徴は、別名「松阪縞」とも表現される縦縞(たてじま)にあります。天然藍の先染め糸を使って織っている縞柄は、染め方で微妙な濃淡を表現できるため、デザインの幅は無限です。
先染め糸(さきぞめいと)
天然藍の糸が使われているので、肌触りがよく藍の虫よけ効果もあり、当時の江戸庶民に浸透したといわれています。また、松阪もめんで織られた腹掛け(はらがけ)は、江戸の町を守る火消たちが、消火や防火のための作業着としても着ていたそうです。
このように松阪もめんは、当時の庶民の生活にとって、欠かせないものだったといえます。
松阪もめんは、どのようにして織られているのか
機械織りの「松阪もめん」も売られていますが、機織りには、独特の風合いがあります。機織りの良いところは、微妙な調節が可能で、好みに合わせて織れることです。
機織りは、機械織りと比べて、柔らかく肌触りも心地良いのが特徴です。番手(紡績糸の太さを表す単位)の大きい糸で織られた生地は、絹のような光沢のある生地に仕上がるそうです。
糸の太さは、細いものから太いものまで多くの種類があり、番手が大きいほど、糸は細くなり値段も高くなります。
一反(幅約37センチ、長さ約12メートル50センチ)を織り上げるのに、熟練の織り手が、1日6~8時間作業して、約20日ほどかかるといわれています。
非日常の時間をあじわえる、機織り体験
松阪もめん手織りセンターは、オリジナル柄の反物販売をしている松阪もめん専門店です。店内では、着物・作務衣・シャツ類・エプロン・手提げ・のれん他、小物類などが販売されています。
またセンター内では、松阪もめんの機織り体験ができます。機織り体験は、約1時間コースと約4~5時間コースの2種類があり、体験の申し込みは、体験予約フォームから申し込めます。
予約フォームでの受付は、予約日の3日前まで可能となっており、今回は、体験フォームから申し込みしました。体験コースに参加する場合は、手ぶらで参加できるのですが、これについてもお電話で確認したところ、丁寧に説明をしてくださります。
今回の体験では、プチ織姫体験コースを申し込み、約1時間で「15×20センチ程度の小物敷き」を織ってきました。(画像の写真は、今回の体験で実際に織ったものです)
体験申し込みから終了までの流れは、次の流れでした。
体験申し込みから終了までの流れ
- 体験予約フォームから申し込み(電話での申し込みも可能)
- 松阪もめんセンターから、メールで返信が届く
- 申し込み指定日時に、センターに訪問(施設敷地内に、無料駐車場があります)
- 体験費用をお支払い
- 体験で織る柄を選ぶ(デザインや色味の異なる、4種類のデザインから選択)
- スタッフが織り機のセッティングして下さるのを、約5分待機
- セッティングがされた織り機に移動
- 座る時は指示された場所に立ち、スタッフが敷いてくれる木製の板に、スタッフの声がけとともに腰をおろす
- スタッフが、動作見本を実演
- 同じ動作を、今度は自分でやってみる(慣れるまで、スタッフは隣にいてくださり、心強かったです!)
- 一連の動作を繰り返す
- 無心で約60分織り続けると、20センチの生地が完成!!
- 店内カウンターで、自分の作品を受取る
準備が整ったら、さっそく「織姫体験」スタート!
織姫さながらの様子で織っているのは、サンエルの社長である辻橋です!
織り機では、筬(おさ)と呼ばれる箇所を使って、たて糸の位置を整え、よこ糸を押して、密に定位置に打ちこんでいきます。
辻橋が使用している織り機は、京都から運ばれてきた京機(きょうき)とよばれる機織り機です。他のメンバーが使用した織り機と異なり、筬(おさ)を打ち込む際に少し力加減が必要ですが、力の加減次第で、仕上がってくる織物の生地に、張りや弾力性がうまれます。
機織りの手順は、以下の流れになります。
1.織り機には、上下2段にたて糸がセットされ、巻いたよこ糸を組み込んだシャトルを右から 左へ手で滑らせる。
2.筬(おさ)を使って、よこ糸を手前に打ちつけながら、ペダルを使って、たて糸の上下を入れ替え、よこ糸を逆に左から右へ滑らせたらまた手前に打ちつけます。
3.ポイントは、手でよこ糸を打ちつけるときに、強すぎでも弱すぎでもない微量な力加減です。
4.この一連の動作を繰り返します。
同じ動作の繰り返しなので、単調作業かと思われるかもしれません。しかし、両足も交互で使うため、気を抜くと、手に持つシャトルがたて糸に引っかかることも、しばしば起こります。
シャトルとは、こちらです!
織っている様子を、上から見た場合の様子は、このような様子です。
機織り体験で、自分だけの一点ものを持ち帰ろう!
体験終了後は、今回制作した20センチの1枚ものの敷物は、長辺を2つに折って両端を縫えば、名刺入れにもなるお話も、スタッフが教えてくださりました。
体験でつくった敷物は、自宅の花瓶敷きとして活躍しています。深みのある藍色の生地の敷物ですが、鮮やかな色の洋花にも、しっくり合うことが分かりました!
また、テレビ時代劇のワンシーンで、織り機で生地を織る場面などを見かける機会があります。自分が機織り体験をしたことで、今まで映像で見たことがある動作が、何を行っている動作か理解できたのも大きな発見でした。
みなさんもぜひ、気軽な気持ちでお試しください!
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施設名 | 松阪もめん手織りセンター |
プチ織姫体験【体験料金】 | 1,300円(税込)※詳細情報はHPに掲載されております |
1日織姫体験【体験料金】 | 6,000円(税込)※詳細情報はHPに掲載されております |
住所 | 〒515-0081 三重松阪市本町2176松阪市産業振興センター1階 |
交通アクセス | 【自動車でお越しの場合】 伊勢自動車道 松阪インターから 松阪インターを降りて直進→「松阪市民文化会館南」交差点を左折→「川井町1」交差点を左折→道なりに直進→「本町」交差点を右折→到着 ※松阪インターから、約15分ほどです。 【公共交通機関でお越しの場合】 |
駐車場 | 有り(松阪市産業振興センターの駐車場) |
電話番号 | 0598-26-6355 |
営業時間 | 9:00-17:00 |
定休日 | 毎週火曜日 |
ホームページ | https://matsusakamomen.com/ |
SNSアカウント | https://www.instagram.com/matsusakamomen/ |
体験予約フォーム | https://matsusakamomen.com/orihime#link4 |